未経験値

思考の「越境」と「拘泥」はものを書くために必要不可欠な要素である。その為には、多くの本を読むのもいろんな人から話を聞くのもよいが、やはり自らの「経験」こそが最も頼りとする素養となるだろう。
終ワリノ始マリ - 煙草を吸わない人間が書く文章なんざ、ロクなもんじゃねえ

そういう意味では、ミステリ作家程リアリティの無い小説しか書けない物書きはいない。引用元のような経験万能論を言うと、悪事も経験した方がいいのかと反論される(案の定コメントにあった)が、それは違う。それはほとんどの人間にとって共有できない未知の体験だ。読者は本当にリアルかどうかなんて知る術もないのだから、ミステリ作家が人殺しである必要など無い。多くの読者のイメージする世界と一致する描写できれば十分だ。

犯罪と違い、タバコはそのリアリティを知っている人間も存在している。なのでモノ書きがそれを経験していることは悪くないし、少なくともタバコを小道具として使いたいならば知っていて損はないと思う。もっとも、そもそもタバコ好きでなければ小道具として使おうとは思わないだろうけど。

ただ、タバコを吸う人間は、タバコを吸わない人間がどうしてタバコを執拗に貶めて、これほどまでに憎悪するのか理解できない可能性が高い。嫌煙者の表面的な行動を描写できても、その深層を理解できずホンモノの嫌煙者を書くことは決してできないだろう。「しない」という経験をした人間にしか分からない事もある。経験することが必ずしも万能なツールとは言えないと思う。

いや。まぁ。それはそれで。そっちのほうが純粋無垢な文章が書ける、ということにしておいて。

処女は喪失するもの。失う前の世界は最早理解できないのではないかな。あれ?でも童貞は失うんじゃなくて捨てるもの?ま、知ったこっちゃね(´д`)