科学と道徳

疑似科学、批判、道徳 - good2ndの日記

それはニセ科学じゃない本物の科学を引き合いに出した場合を想像して、ふと思ったことです。たとえば、ある動物や昆虫が、利他的な行動をとることが生物学的に知られているとします。これを引き合いに出して「○○でさえ思いやりの心がある。人間も見習うべきだ」というように道徳的な主張に「利用」したとします。この発言は、非難されるべきでしょうか?

科学的な事実を道徳の根拠にするのはあまり賛成しない。

しかし、思いやりの心というものは生存に有利に働いたために残った形質である、と考えると、道徳という行動規範は昆虫の利他的行動と本質的に同じなのかもしれない。人間の良心に基づく協調的な行動と、昆虫の本能の基づく協調的行動は、生存のために獲得した形質という点では同じものなのかもしれない。

とすると「ホゲホゲでさえ思いやりの心があるのだから」という主張は道徳という生存戦略を語る上では間違いでもないのかもしれない。

こーいう事を言うと、人間の心と虫の本能を一緒にするな〜、とか怒られそう。「虫でさえ思いやりの心がある。人間も見習うべきだ」と言ってもそんなに反感は買わない。しかし、人間の心と虫の本能を一緒のレベルで扱っているという点では同じなのに「道徳心も本能も同じ生物の形質」と主張すると反感を買いそうなのは何故だろう…。