ウィルス

コンピュータじゃなくて生物の方。

ある雑誌にバイオテロを描いたマンガが連載されている。エボラやマールブルクのような出血を伴う症状を引き起こすウィルスによるテロで、ウィルスを散布して1時間程度で発症する描写がある。これは生物学的にはあり得ない。

病原体による疾患には、感染から発病までの潜伏期間がある。ウィルス性の場合、短いものでも24時間程度の潜伏期間があり、感染と同時に発症する事はない。なぜならウィルスは自己増殖する事ができないからだ。ウィルスの増殖は宿主細胞の代謝に依存しているため、宿主細胞の増殖速度を超えて増える事はできない。よって発症までの速度も宿主細胞の代謝速度によって律速される。

一方、自己増殖可能な細菌性の疾患では感染から数時間で発症に至ることがある。食中毒などがその好例だ。


このウィルスのような現実にあり得ない描写が出てくると、読む気がなくなるという人がいる。正直、損な性格だと思う。現実世界を舞台にした作品で現実にはあり得ない描写がされても、創作されたルールに一貫性が保たれていれば、そういうものだと受け入れてストーリーを楽しめば良いのにと思うのだけど。