自分のアタマで考えている?

それが疑似科学であるということを論理的に説明出来るのか? そんなの当たり前だろ常識的に考えて、などというのは知的とは最も遠い態度だ。*1

VIPPERはそうやって疑似科学をバカにしているが、自分らが騙される可能性に思いも至らないのか。例えば今話題の、

「鯨は魚を食べ過ぎており、海洋資源を減少させてる。だから鯨を間引くために捕鯨は必要」

これを正しいと思ってるのではないか。こんなものは俺に言わせれば疑似科学と同じだ。生態系入門レベルで間違ってる事が分かる。鯨が減れば一時的に鯨が捕食している小魚は増えるだろう。増えた小魚は何を食うのか? 小魚の餌となるプランクトン等が大量に捕食されることになるだろう。一次消費者や生産者の減少は生態系全体に影響し、結果、上から下までみんな仲良く減少するという結果に相成る。弱肉強食という言葉は生態系のごく限られた側面しか捉えていない。捕食者も生態系というシステムの一部なのだ。仮に本当に鯨が増えすぎているならば、鯨同士で競合し勝手に調節されて減少するだろう。

もちろん、これも極めて単純化されたモデルであるため、鯨のケースに当てはまるかどうかは分からない。生態系モデルにはパラメータをちょいと弄れば全く逆の結論になるカオス的な要素が多分にあるからだ。が、少なくとも「鯨が魚を食い尽くしている」と言える根拠は存在しないし、あえて言おう、生態学の常識では偽だ。疑似科学はちょっと言い過ぎかもしれないが、鯨害獣論に科学的な根拠は無い。

この鯨害獣論、日本では概ね正しい事になっている。なぜなら「みんながそう言っているから」だ。これを得意げに言ってる奴も身近にもいる。正直こいつアホかと思ってる。間違っている事を主張することに、ではない。自分は知らないという事を知らない事にすら気付いていない事、間違っているかもしれないということに思いも至らない事に、だ。

自分が捕鯨を支持したくない理由の一つには、日本の捕鯨推進派にこういう珍説を鵜呑みにして信じているものが多数占めていることがある。*2

それはともかく、この鯨害獣論に限らず自分で考えて判断することの難しさを感じる。自分の頭で考えているようでも実はみんなが正しい間違ってるといってる意見に流されて、鵜呑みにしてるだけだった、という例は多々あるのだろう。それはある程度は仕方ない。全てを一人で理解し、検証して、判断できるほどキャパシティは人間には無いのだから、他者の判断を受け入れなければならないこともあるだろう。自分は自然科学分野ならばある程度の真偽の判定はできるが、経済や法律の話なんかになったら何が正しいのか判断できない。自然科学もより専門的なレベルになったらお手上げだ。

それでも、みなが正しいと言ってる事、間違っていると言っている事に対して、なぜそれが正しいのか、間違っているのか?と考えられなくなったら終わりだと思っている。

*1:実際は常識レベルである。が、説明すらできない常識で誰を説得できる?

*2:別に旨くないから禁止になっても問題ないというのもある。実はスゲエ旨い鯨料理がどこかにあるのかもしれない。知っていたら食いに行くので是非教えて欲しい