求ム、未来を発明する人

IT業界に就職して感じた事は、会社がテクノロジーに興味をもっていないということだった。この傾向は大手ベンダほど顕著であるらしい。経営者が自分の経営している企業の、そのメシの種に興味が無いという。自社製品発表の場で、その新製品を逆さまに持って何も感じないような経営者ばかりなのだ。別にどこの会社がどういう方向に向かおうが個別企業の戦略であって産業全体では別にどうでもいいのだが、日本の大手システム会社の中には一社さえもネット進化の新しい方向性を体現する戦略を取ってやろうという会社がいないのはどういうことだろう。

結局歴史が繰り返されようとしてるんじゃなかろうか?つまりある程度そのサービスの成否が明らかになった時点から参入し、ハイレベルな洗練を行うことによってトップの座を取りに行くという、後の先の戦略を日本企業はまた取ることになる(あるいは取らざるを得なくなる)のではないか、ということだ。
2005-10-28 - よしだ日記 Web2.0を必要とする人

日本のソフトウェア業界において、AppleGoogleのようにテクノロジー指向が強く、新しい価値や概念を生み出そうという方針を明確に示す企業は皆無と言って良い。技術革新が未来を切り開くと信じ、自らその道の先頭に立つソフトウェアベンダが存在しない。

日本のプログラマの地位の低さもテクノロジー軽視に原因がある。日本において、プログラマは未来を作る技術の担い手ではなく、定められたビジネスルールをプログラムという形で記述するだけの役割でしかない。プログラマとしてそれ以上のことを求められることはない。これではプログラマという立場で地位の向上など望むべくもない。IT業界でのキャリアパス、キャリアアップとは、一般にプログラマ→SE→マネージャ→コンサルとされている。それらの職は決してプログラマの上位でも延長でもないにも関わらず。

小さいところに目を向ければ、はてなのような非常にエキサイティングな会社もある。ソフトイーサの登氏のように高度な技術力を持ち、自ら起業する希有な人材もいる。しかし日本のIT業界主流ではソフトウェア技術軽視の風潮は変わらない。だが、おいらと同じように、新しい未来の形を作りたいと鬱憤の溜まっている技術者は数多く居るはず。多くの才能が、日々つまらないルールの記述に追われ、納期に追われ埋もれているはず。そういった埋もれた人材を呼び覚まし、纏め上げ、新しい未来を作るぞ、という気合いの入った経営者はいないものだろうか。

いねーだろうな・・。だが、この閉塞したIT業界に本当に必要な人材は、ホリエモンでも三木谷氏でもなく、「それとも世界を変えてみないか」と語るカリスマなのだろう。