セールスは技術開発より難しいのか?

木村剛氏によると、セールスは技術開発より難しいそうだ。確かにモノを売るのは難しい。日々顧客を駆け回る営業さんには頭が下がる思いだ。

しかし、青色LEDをベアリングと比較する例はナンセンスであろう。青色LEDでは、開発される前から既にマーケットは出来上がっており、新規マーケットの開発などは必要なかった。緑と赤のLEDが既に開発されており、残りの青が完成すればLEDでフルカラーを扱えるようになる。青色LEDはさらに多くの新商品開発とビジネスチャンスを生むものであるため、市場は青色LEDの発明を今か今かと待っていた状態であった。

青色LEDは確実に売れることが分かっていた。だからこそ多くの科学者や研究機関がこぞって研究を行っていた。そしてその多くの研究者の熾烈な開発レースで勝利したのが中村教授なのだ。

青色LEDという製品が多くの特許権やノウハウからなっているのは確かだが、青色LEDが売れる理由は、「青色だから」というその1点のみだ。他の多くの特許権やノウハウの技術的ハードルは遥かに低い。青色という点さえクリアできれば、どの会社でも青色LED製品化できるのだ。50%という貢献度は決して高いものではない。この件に関しては「セールスは技術開発より難しい」とは全く言えない。

結局、中村教授が得た対価は8億という発明のレベルから見ればなんとも低いものとなった。日本の技術者への評価の低さがよくわかる。こんな程度の扱いしかしないから韓国などに技術情報を売るような社員が現れるのだろう。